新川和江「いっしょけんめい」[2024年08月24日(Sat)]
コウヨウザン(広葉杉)というのか、大きな杉の仲間。
名前の通り、葉が大きい。
下の方の葉は、柔らかな葉を広げて、空から降りてくるものたちを抱きとめるべく待っているみたいだ。
◆北の方では夏休みも終わったころ。子どもたちを待ち受けているのは何だろう。
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いっしょけんめい 新川和江
いっしょけんめい 泳いだら
いつか 魚に なれますか
尾ひれが生えて すいすいと
沖まで泳いで ゆけますか
いっしょけんめい はばたいたら
いつか 小鳥に なれますか
つばさが生えて ゆうゆうと
広いお空が とべますか
いっしょけんめい 背のびをしたら
いつか ポプラに なれますか
みどりの葉っぱを そよがせて
風とおはなし できますか
いっしょけんめい 咲こうとしたら
いつか お花に なれますか
ひかりと水に 愛されて
わたしもきれいに 咲けますか
『新川和江文庫 5 青春詩篇/幼年少年詩篇』(花神社、1989年)より
◆魚や小鳥、ポプラやお花。どれも「たとえ」ではない。
それらになりたいと真っ直ぐ思う心。
大人には答えることの難しい問いだ。
(答えねば、と理屈が目先にちらつくので難しくなるんだろうけれど。)
真っ直ぐな問いを、真っ直ぐ受けとめられれば良いのだが、それがまた難しい。