山口雅代「あかちゃんのな」[2024年07月11日(Thu)]
◆梅雨空にヒマワリがずらり満開だった。
あかちゃんのな 山口雅代
あかるいほうばかりむく
あかちゃん
えつこちゃん、と
つけはったけど
ひまわりちゃん、と
つけてほしいな
新版『ありとリボン』(編集工房ノア、2023年)より
◆詩人は先天性小児マヒを克服しながら詩を書き続けて来られた方。
児童詩誌「きりん」に掲載されたほか、新聞等に紹介される。
小学校卒業の記念にまとめたのが詩集『ありとリボン』。
この「あかちゃんのな」は小学校1年生の時の一篇。
◆あかちゃんが明るい方を見つめている、という観察は、作者もあかちゃんになって視線の先を見ているからだろう。
世界の明るさをすべて心にとりこみながら、家族やご近所の人たちの眼に映る自分の姿をも視ているのかもしれない。
***
ヒマワリの花は、そろって東南の方角を向いていた。
時間のせいか、うつむきかげんのものが多いが、すべてがそうというわけでもない。
沈思の表情のものもあれば、雨雲に向かって昂然と顔を持ち上げているものも、というおもむき。