• もっと見る
« 2024年04月 | Main | 2024年06月 »
<< 2024年05月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』22[2024年05月12日(Sun)]

DSC_0453.jpg

バラはやはり豪奢だ。横浜薬科大にて。


*******


◆ヌカ喜びに終わったガザ停戦。権力の座に座り続けるために虐殺が続行されるなんて!!


*******


戦禍の際(きわ)で、パンを焼く   若尾儀武

22

ガスが止まった
電気が止まった
水道が止まった
空襲警報が鳴りやまない
老婆はこんなこともあろうかと
井戸を残し
薪の窯を残し
ランプのホヤを磨き続けてきた

(なあに 時計の針が少し戻っただけさ)

老婆はいつもどおりに夕餉のパンを焼き
孫を呼ぶ
育ちざかり
パン皿に二枚を盛って
自分の皿には半分の

それを見て孫は言うのだ
お婆ちゃん
お婆ちゃんの皿にはボクの半分しかないよ
そんなじゃ死んじゃうよ
そうかね 死ぬかね
うん
そうだね おまえの言うとおりかもしれないね
でも安心おし
わたしはそう易々とは死なないよ
ニンゲン 死ぬときは死ぬだけのモン
食べていなくちゃ

キーウの街でまた空襲警報が鳴りだした
孫はその音に喉をつまらせる
老婆はそれは聞こえていないのか
変わらない速さで顎を動かしている


若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』(書肆 子午線、2023年)より


《ニンゲン 死ぬときは死ぬだけのモン
  食べていなくちゃ》

――全く、そのはずじゃないか!!!



| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml