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若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』13[2024年05月08日(Wed)]

DSCN0913.JPG

スイカズラ。アカシアの枝にからまるように蔓を伸ばし、花の散ったアカシアの後を承けるように芳香を放つ。

DSCN0920.JPG

*******


戦禍の際(きわ)で、パンを焼く  若尾儀武

13

半壊した地下室から
切れ切れに産声が聞こえてくる
誰の手かが
口元をくるんで声を遮断している

セベロドネツク郊外の小さな町
人けの消えた道を
黒い鳥がわがもの顔に闊歩している
そして一軒一軒戸口を覗いている

しっ
今は我慢だからね
いい子 いい子
しばらく目を開けてはいけないよ
ヒマワリが咲いたら教えてあげる
名前はそれからつけようね

どこかで誰かがメリーゴーランドのネジを巻いている
まだ回るものはない
星々も動かない



『戦禍の際で、パンを焼く』(書肆 子午線、2023年)より


◆セベロドネツクはウクライナ東部。2022年の5~6月、ロシア軍のドンバス地方侵攻における激戦地の一つ。

新たな命の誕生を祝うどころか、赤子の声をくぐもらせ、母親も無言で語りかけねばならない戦場。
本当なら、この幼子を中心に、世界が、星たちが回るのでなくてはならないのに。





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