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ペンペングサ[2024年02月28日(Wed)]

DSCN7806.JPG

ペンペングサ。
その昔、屋外にあったポットン便所の柾葺きの屋根に、彼らがいっぱい生えていた。
占領され尽くす前に、その便所は取り壊された。
だが、簇生(そうせい)する彼らの姿は、毎年目にするのだから、侮れないと、幾つになっても思う。

DSCN7805.JPG




赤木祐子「乾きを乾かす」[2024年02月28日(Wed)]

◆岩手が記録的な大雪で難儀というに、関東はカラカラ陽気。
パサついた空気は国会の中まで(衆議院の政治倫理審査会の開催は延期という迷走)。

*******


乾きを乾かす   赤木祐子


時代が乾きを拡散する力が急速に高まっている
底無しの口をもつモンスターの呼気で
蜘蛛が虚空に張ったネットワークで
電波で伝播していく
でんぱででんぱして
でんぱででんぱして
でんぱででんぱして
ドライドライドライと音を立て
搔痒しながら次々に乾き崩れる人々
もともと人でしかなかったうえにもう人ではない
乾きを拡散するために微細な粒子になって散っていく

乾きは 私を覆う表皮をかさつかせる
乾きは 私の喉や気管をひりつかせる
乾きは 私の消化排泄をとどこおらせる
乾きは 私の虚しい作業の効率を下げる

高温で熱したら根絶できるかもしれない
乾きを燃やしたらきっと
黒い煙を盛大に出した後に
気持ちのいい真空になるだろう
そしてすべてが終息する
恍惚として終息にあこがれた私はきっと
自分のことを私だなんて
二度と名乗れなくなるけれど
しゃべることはもう
言葉にならないけれど
すべて気持ちいい
ひたひたの真実になるだろう



『Tillandsia チランジア』(港の人、2016年)より

◆第一連、「でんぱででんぱして」の2単語の同音が直列で続き、「デデンパ」というリズミが被さりながら繰り返すところが面白い。「でんでんむしむし」や「ドドンパ」も聞こえてきそうだ。
「ドライ」の3連発も「アインス・ツヴァイ・ドライ」(独語の1、2、3)を当然に連想させる。そのように音の連なりが聞こえて来ると、第一連の文字列が(縦書きの詩集原本では)ビブラフォンやマリンバの、パイプのように見えてくる。音板の下に並んだ共鳴用の管だ。

◆「乾き」は無論、人間の肉体も心も解体に向かわせるだけだ。
それぐらいだったら、滅びるのを苦しみながら待つのじゃなくて、いっそのこと「乾き」をひと思いに焼尽させたら、その先によみがえりがあるのではないか?
――言葉に依ることができないとするなら、例えば、悲鳴や叫び、さもなくばその反対、沈黙によって――。

最終行、「ひたひた」――やはり「海」「水」のイメージだ。




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