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プーシキン「白鳥とがちょう」[2024年02月08日(Thu)]

プーシキン『教訓四行詩集』(1826年)からもう一篇――


白鳥とがちょう  プーシキン


白鳥を笑いものにしようと
がちょうがある日 白鳥に泥土をぬりたくった
ところが白鳥はからだを洗い ふたたび白くなった。
汚れた人間はどうすればよいか?…… 洗い清めることさ。


草鹿外吉・編訳『プーシキン詩集』(青磁社、1990年)より。

◆泥を浴びせても白鳥は白鳥。どんな邪魔や中傷、攻撃をものとするものではない。
人間は? というと……洗い清めても真人間に戻りそうもない御仁もいるから厄介だ。

◆『教訓四行詩集』は、1826年の夏に書かれたと推定されている。前年12月には、ツアーリズムを転覆し農奴制廃止を目指したデカブリスト(十二月党員)の乱があった。捕らえられた若き革命家たちに首謀者への死刑を含む苛烈な判決が下る直前にあたる。

◆21世紀ロシアにツアーリは存在しないはずで、選挙をもって大統領は選ばれることになっている。だがそれが建前に過ぎず、独裁者の管理下で行われる形だけのものであることは周知の事実。

ウクライナ侵攻に反対するボリス・ナジェージュジン氏をロシア中央選管は大統領候補として認めないこととした(8日)。
10万5000名もの署名の中に「死者が含まれている」などと難癖を付けたようだ。

◆署名には、望まぬ戦争に動員された兵士の家族たちも、一日も早い夫・息子の帰還を願って協力したという。

「おっしゃるとおり、署名の中には、過去および未来の死者が含まれている」と毒づきたくなる外野のたわごとはさて置いて、幾十と知れぬ段ボール箱にギッシリ収められた署名にこめられているのは平和を願う真実の声の重さのはずだ。
署名に託した人々の真情を泥で汚すことはできない。



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