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パティ・スミス「わたしたちのたわごとは……」[2023年11月15日(Wed)]

◆イスラエル軍が侵入したガザのシファ病院、電気が途絶えた保育器から出されて並んだ新生児たちの姿に声を失う。泣き叫ぶ子、泣き声をあげる元気すら失った子、痩せこけたからだ、頭部に傷を負い、右目から上が大きく腫れ上がった赤ん坊……。

******

◆パティ・スミスの詩「わたしたちのたわごと(ジャーゴン)は太鼓の音をこもらせる」
次のように、太鼓の音と子供たちの姿から始まる。


行進する子供たち人間性のスクラップ血が奔流するストリートで太鼓をたたきながらモラルの高い地に生き埋めにされ……


以下、日本語訳で74行にわたって句読点を一切使わず噴出することばが、ストリートの子供、二人、十人、いや、数万におよぶ子供、放射性降下物、胎児、幹細胞、弾薬や世上喧伝されるスキャンダル、凶悪事件、スターから大統領に至るまで、コマ送りのニュース映画のように次々と映し出す。
その中には次のようなシーンもある――


……赤ん坊たちがくるまれたまま山となって捨ておかれる間に靄にかすんだストリートでやつれゆく赤ん坊たち離してもらえるわけでも祝福を受けるわけでもなくそして子供たちは両手を差し出してやってくるわたしたちは彼らに棘のある改心物質的儀礼非愛国的行為を復讐報復の罠にかけようと詰め込みそれでも彼らの純粋な手のひらに見合うお返しにとつみ取られるのを待っている高貴な花がなにも持たなくてもそれ自身は太陽に向かって面を上げ透明なミルクを浴びて流れくる輝きを飲むそして子供たちは名もなきストリートを疾走するブルーモスクのヴェールに包まれたストリートを歓喜に酔いしれる忌々しいストリートを……


大人たちは支えにならない。汚辱される海山、虐げられ壊される子供たち自身のあらがい……


……わたしたちは絶滅の身ぶりをしながら虚栄心をまき散らし子供たちは自然を口にして小さな苦悩そして魚は砂漠で悶え海はもはや輝く海でなく山は事物の終わりをなぞる小さな指を突き立てながら破壊されるだろうそして子供たちは血の太鼓をたたき行進している未来の頬に折り曲げて詰め込むヤグルマソウを差し出す幽霊といっしょに小さなこぶしは汝守護者に注意を喚起する誰も最初の者となることなく誰も最後の者となることなく誰が愚行で空がピンクに染まったら太陽を迎えるのか誰が子供たちをゲームから救うべく残るのか……



ここに果たして「希望」のかけらでもあるのか?
……ないなら作るしかあるまい、ことばによって――

上に続けて、詩は結びへと向かう――


そして彼らは大地のパンとなり彼らの日の聖者のモニュメントを建立しすべてのヴェールを脱ぎ捨てすべての旗を広げ棺桶型のバスケットの中に裸のまま見捨てられていた彼らを見つけて抱き上げて沐浴させ彼女の愛に満ちた美しい衣服を着せてくれた母親を大歓迎し信頼に根ざした青い暁の衣装を着て博愛をふりまくとともに希望に浸らせてくれた彼女を覚えているだろうわたしたちの世界を再建しながら。


*パティ・スミス詩集『無垢の予兆』p.111〜116より抄録(東玲子・訳、アップリンク/河出書房新社、2012年)






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