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高見順「川」[2023年03月10日(Fri)]

DSCN6695.JPG
コブシ

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川  高見順


僕は大きくあふれたいと思ふ
僕は近く海へ入る

見たまへ
もう海は近い

海に落ちた水滴は
それが川のものでも
もう区別はつかない
自分を失つて
海にのまれるのである

山から降りてきて海に入る前に
僕は陸に氾濫したい



日本の詩21『中野重治・伊藤整・高見順・井上靖集』(集英社、1979年)より


高見順(1907-1965)の詩集『死の淵より』を読んだのは高校の頃だったか。

いま高見順の詩を読むと、病との格闘の日々、古里・福井県三国の海を見ることがかなわないと詩に詠んでいても、死と等量、あるいはそれを呑み込むほどの生があふれていることに気づく。

この詩で「海へ入る」のは、自らの死を意味しているだろうが、同時に、海に沈む太陽に照らされながらあふれ出て止めようもない生命のイメージがある。目前に迫ったと覚悟してもとどめようのないものの氾濫。



高見順「樹木」(一)〜(四)[2023年03月10日(Fri)]

DSC_0411.jpg
ホトケノザ。
耕され、種まきを待つばかりの畑のきわに、おびただしく咲いていた。

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樹木 (一)〜(四)  高見順


 樹木 (一)

枯れて
生きる

生きて
枯れる

立派に枯れる為に
(さか)んに生きる


 樹木 (二)

葉はやはらかく
枝はかたい

かたい枝が
やはらかい葉をつくる


 樹木 (三)

作品を毎年失つて
また
作品を毎年繁らせる


 樹木 (四)

葉と枝は人に見せ
大切な根は人に見せない



日本の詩21『中野重治・伊藤整・高見順・井上靖集』(集英社、1979年)より


◆草は木にあこがれる、だろうか?




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