ウクライナをめぐる音楽二つ[2023年02月26日(Sun)]
◆NHKスペシャル「ウクライナ大統領府 軍事侵攻・緊迫の72時間」を視た。
番組の終わり近く、兵士たちの姿が映し出される。
疲れ果て、深く掘られた塹壕の壁にもたれる者、放心した表情の者。
爆風で飛んできた土か何かに眼をつぶり顔をしかめる者……
最後に、SNSの画面に映った若い兵は、口に出すべき言葉が見当たらぬまま吐く息だけが白い。顔に土がこびりついたまま、苦悶の表情でこちらを見ているこのウクライナの若者に、私たちはどんな言葉をかけてやれるというのか。
サイレンがまたもやキイウの街に鳴り響く。
爆発音とともに窓が激しく揺れる……
◆それらの映像が続く番組の終わり、4分余り流れるヴァイオリンの音色が胸に沁みた。
クレジットに坂本龍一「Piece for Illia」とあった。
「イリアのための曲」という意味になろうか。
ネットで探すと、昨年、避難中の地下に響くヴァイオリンが話題になったウクライナの二十歳のヴァイオリニスト、それがイリアだった。
彼の演奏に感銘を受けた坂本龍一が作曲を申し出、コラボレーションで生まれたのがこの「Piece for Illia」だった。
多くの音楽家たちがリモートで加わった演奏もあり、それも話題になったようだ。
ヴァイオリニストの名はイリア・ボンダレンコ。
★ソロでこの曲を演奏する姿がYouTubeにアップされている。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=4Rbq9lxOh2o
★廃墟と化した学校の前での演奏もアップされている(2022年5月の演奏)。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=cJWutFfxqpA
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◆ウクライナをめぐる音楽としては、大野一士が都響の定演で取り上げたシルヴェストロフ『ウクライナへの祈り』の演奏も深く心に響いた。
昨年4月22日、ウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937〜)の曲を、予定されていたプログラムに特に加え、平和への願いを込めて演奏されたものだ(於・東京文化会館)。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=-BJP-o7ogMo