『都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム』案への意見[2023年02月23日(Thu)]
◆東京都が『都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム』案について、意見募集を実施している。 締め切りは明日2月24日(金)いっぱい。Webから入力・送信可能だ。
★応募要項は下を参照。
【御意見募集 「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」(案)について】
⇒https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/02/15.html
★入力送信フォーム:
「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」(案)に対する意見
⇒https://forms.office.com/pages/responsepage.aspx?id=NzBX9o1d90yJrdl_qO8gj9Q0fuOn0otHpYbqn9B1r7BUN1FOVzdENzdRTExYRUJIMTFBUlU5Q1BVSCQlQCN0PWcu
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◆「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」(案)〈PDE〉全体は、下記URLから閲覧・ダウンロードできる。
1.概要版⇒https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/02/documents/15_01.pdf
2.「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」(案)【全体版】
*意見はこの全体版PDFのスライド番号を明示した上で入力・送信のこと。
※PDF各ページの下隅に振ってある頁番号ではなく、スライドで表示されるものの番号([PDFページ番号+2] になっているので注意。
⇒https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/02/documents/15_02.pdf
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◆今回の「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」(案)[以下「実行プログラム案」]、言葉は麗々しく並ぶが、今月上旬に本ブログにアップした日の丸君が代強制問題の視点から読むと、問題だらけと言わざるを得ない。
2か所だけ挙げて置く(「スライド番号6」及び「スライド番号10」)。
(1)全体版の「スライド番号6」には以下のような記述がある――
○ また、国際色豊かな学校の拡充や専門高校の改善・充実、チャレンジスクールの新設など、社会の変化や生徒の多様なニーズに応える学校づくりについても併せて取り組んできました。
◆「国際色豊かな学校の拡充」も「社会の変化や生徒の多様なニーズに応える学校づくり」も、そのまま受けとめることはとうていできない。
これまでの都教委の施策を確認しておこう。
@卒業式等の"君が代"の異常な強制が依然として続いている。
(進行台本で、不起立の生徒に対し司会の主幹教諭がマイクを使い、「立ちなさい」と3回叫ぶという。人権侵害以外の何物でもない。)
A教職員への"君が代"処分はおかしいという各種世論調査を無視し、最高裁で教員側勝訴の判示があったにも関わらず、再処分を強行。報復的な人事権の濫用である。
B『オリンピック・パラリンピック学習読本』で、〈国旗掲揚/国歌〉という表現を採用。五輪憲章が、〈各NOCが採用し、IOC理事会の承認を得た「旗・讃歌」〉と明記していることを無視したものだ。
いずれも、生徒に国家主義を刷り込み、教職員にも生徒にも、教育基本法が禁じる「不当な支配」を強行している、というのが実態である。
こうした現状こそ、セアートや国連人権規約委員会から是正が求められている「人権侵害」にほかならない。
よって、この6番目のスライドについては、たとえば次のような認識の変革を求めるべきだろう。
口先だけの「国際色豊かな学校づくり」や「生徒の多様なニーズ」ではなく、これまでの卒業式等における「君が代」強制や、『五輪学習読本』で「国旗国歌」という記述を安易に用いたこと等への反省に立って、「君が代」強制反対の世論や多様な生徒の存在をふまえた、真に民主的な学校づくりへと変わる転機を迎えています。
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(2)全体版の「スライド番号10」の記述――
◆「グローバル人材の育成や国際交流機会の拡大」への期待を受けた学びの充実に加えて、「新たな課題等の解決とともに、都立高校の魅力向上を図ることを目的」としてこの「実行プログラム」をまとめた、としている。
ここでも、「日本人としての自覚や誇り」、あるいは「国を愛する心情」等の強制に対してこれまで寄せられた反対意見、都立高校の未来に対する憂慮の声が相当数に上る事実を完全に黙殺している。
◆さらに見過ごせないのは、「グローバル/国際交流」をうたうことと「日本人として/国を愛する心情を」を強調する結果、高校生の中に矛盾するもの同士のせめぎ合い・葛藤をもたらす危険性への目配りがどこにも伺えないことだ。理解しがたい。
「日本の伝統・文化」を強調する姿勢は教員の指導力向上においても同じだ。例えば「実行プログラム」のスライド番号53、最下段の記述。
(3)グローバル人材の育成に向けた指導力の向上として、「英語コミュニケーション(日本の伝統・文化紹介)」の実施が示されている。これと発想は同じである。
すなわち「グローバル=英語力」→「英語で日本の伝統・文化を紹介」という既存路線を一歩も出ていない。
例えば、外国につながる生徒たちが存在することを視野に収めるならば、日本語習得の環境整備だけでなく、「英語圏以外の文化的背景を持つ生徒たちから学ぶ」という方向を明確に打ち出すべきだろう。
◆よって、「スライド番号10」は、以下のような視点で書き改めるべきと思う。
――「グローバル人材の育成」を目指すときに、「日本人としての自覚や誇り」「国を愛する心情」を求めることが生徒たちに深刻な葛藤をもたらし、主体的な学びを阻害し得るという認識に立ち、かつ多様な文化的背景を持つ生徒たちが在籍する現実を直視して、個人の尊重と人権保障の場として学校が機能し、どの生徒も人間として持てる力を伸ばせる施策を実現しなければならない。
◆「多様な学び」を謳う以上、卒業式等における「君が代」強制の元凶である10・23通達は、廃棄しなければならない――それが論理的な帰結となる。
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君が代強制に国連から3度目の是正勧告
(永野厚男氏『マスコミ市民』22年12月号の転載)
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