『Peace & Edu』第30号から〈その2〉[2023年02月07日(Tue)]
◆〈学校に「思想・良心の自由」を実現する会》の会報『Peace & Edu』第30号から2つ目の記事は、昨年末に文部科学省が出した「生徒指導提要」改訂版についてだ。
12年ぶりの改訂には大きな変化があった。
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改訂版「生徒指導提要」と子どもの権利条約
2022年12月、文科省は「生徒指導提要」(以下「提要」)を12 年ぶりに改訂、「利用ガイド」とともに公表し、活用を推奨している。生徒指導に関するガイドラインである。
今回の改訂は、2022年6月の「こども基本法」が「子どもの権利条約」(日本は1994年に批准、発効)をふまえたものであると強調、子どもの権利擁護や意見表明の重要性を前面に出していることだ。遅まきとは言え、「規範意識の育成」が幅を利かせていた旧版からみれば大変革と言える。
「まえがき」がうたう基本姿勢は―(校則見直し等に)〈児童生徒が主体的に参画することは、学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、児童生徒自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものと考えています。〉
これは校則に限らない。学習、行事、生徒の自治活動などあらゆる部面で追求すべきことだ。政治色の濃い道徳教育や「愛国心教育」で制限や矮小化を図ってはならない。
「提要」が要約する子どもの権利条約の4原則は、
@差別の禁止
A児童の最善の利益を第一に考える
B生命・生存・発達に対する権利を保障
C意見を表明する権利を保障 以上だ。
例えば@に対応する「子ども基本法」の条文は――@全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。(第3条第1号)――つまり、日本国憲法に立脚した教育を、ということに収斂する。