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若松英輔『愛について』より「定義V」[2023年01月28日(Sat)]


定義V  若松英輔


役に立つかどうかで
ひとをみるのは
打算

優れているか
どうかを考えるのは
評価

自分を忘れて
相手の心を映すのは
無私

目の前にいるから
身近に感じるのは
親しみ

だが 遠くになれば
なるほど強く
相手の幸いを願うのは


詩集『愛について』(亜紀書房、2020年)より


◆この詩集では《愛について》、二人称で語りかける詩が多い。
その中で、「定義」と硬めの題を有する3篇の詩、特にそのTおよび、ここのVは、読む者への押しつけがましさとは全く無縁で心にしみる。

「わたし」にはこう思えますが、あなたならどう考えるでしょう? と静かに問いかけてくる言葉が紡がれている。

◆第一・二連の「打算」や「評価」は、人を手段とみなしている感じがつきまとう。
自分はそんな目で人を見たりしないヨ、とほとんどの人は言うだろう。
しかし、実はそんな態度をしばしば取っていて、しかもそのことに無自覚でいることが少なくない。

◆第三連にある「無私」などは、心の在りようとして理想の一つ、プラスイメージの言葉ではないか、と思える。
だが、良く考えれば常人の至りがたい境地であって、自らこれを口にする御仁は、信用なるまい。

◆そう見ていくと、第四連の「親しみ」から「愛」へと移るように心が熟すことが自然で、誰にもたどり得る理想形だと思える。
無論、ここで言う「愛」は、身近な肉親からパートナー、地上のさまざまな境涯にある人びと、さらには神に至るまでのすべてを豊かに含んでいる。




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