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池下和彦「あらそうなの」[2023年01月23日(Mon)]


あらそうなの  池下和彦


部屋の引き戸があく
ひょっこり
母の顔
わたしは
なにか用? とたずねる
数歩こちらに近づいて
あのねとこたえる
そうこたえて部屋をでていく
わたしは
戸をしめていってねと声をかける
あらそうなの
という声をのこして戸はあいたまま
母は上手に戸をあけることができる


『母の詩集』(童話屋、2006年)より

◆認知症が引き起こす家族のイライラが亢進してしまうのは、たぶんわれわれが「個人の尊重」という価値を、自分だけに当てはめて、他者を適用の対象とは考えないことから来るのだろう。
自分の都合だけを優先すれば、たとい肉親でも時に憎悪の対象になり悲劇が生まれたりする。

老親の介護も、いたいけな幼子の養育もその点で違いはない。

◆この詩、「上手に戸をあけることができる」と受けとめられるのは修練の賜物か、生来楽天的であるゆえか知らない。
コツは、母がむかし我が子の成長を喜んでくれた気持ちに、今度は「わたし」がなってみることのようだ。
と言っても難しいわざではある。それでも親子だ。結ばれている糸を手繰り寄せさえすれば近づくことは可能だろう。諸事情あって糸がこんがらかっている場合には、丹念にほぐさねばならない。
ま、多少の根気は要る。



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