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土の声・生命のことば―志樹逸馬『土壌』[2022年12月03日(Sat)]


土壌   志樹逸馬

わたしは耕す
世界の足音が響くこの土を
全身を一枚の落ち葉のようにふるわせ 沈め
あすの土壌(どじょう)に芽ばえるであろう生命のことばに渇(かわ)
だれもが求め まく種子から
緑のかおりと 収穫が
原因と結果とをひとつの線にむすぶもの
まさぐって流す汗が ただいとしい

原爆の死を 骸骨の冷たさを
血のしずくを 幾億の人間の
人種や 国境を ここに砕いて
かなしみを腐敗させてゆく

わたしは
おろおろと しびれた手で 足もとの土を耕す
どろにまみれる いつか暗さの中にも延してくる根に
すべての母体である この土壌に
ただ 耳をかたむける



若松英輔・編『新編 志樹逸馬詩集』(亜紀書房、2020年)より


◆「一枚の落ち葉のように」――土に対する「わたし」の生き方を思い定めたことばだ。
「土を耕す」とは土に生命のことばを芽ばえさせるいとなみ。
枝葉を伸ばしやがて手にする実りを思うことが楽しみでないはずはない。

だが、一枚の落ち葉に聞こえてくるのは、世界に起きている幾億もの不幸や死。
それらがもたらすうめきや苦しみが土を通してわたしの身を震わせる。

かなしみは細かな粒となって「わたし」とともに土に還らねばならない。
汗みずくになり身を粉にする行為は、もはや一つの祈りだ。




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