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左川ちか「午後」[2022年09月02日(Fri)]


DSCN5870.JPG
境川に遊ぶ白鷺。

***


午後   左川ちか


花びらの如く降る。
重い重量にうたれて昆蟲は木蔭をおりる。
檣壁
(ママ・しょうへき)に集まるもの、微風のうしろ、日射が響をころす。
骨骼(こっかく)が白い花をのせる。
思念に遮られて魚が断崖をのぼる。



島田龍・編『左川ちか全集』(書肆侃侃房、2022年)より


【編者による注】
「檣壁」…墻壁・牆壁のこと。まわりを囲う壁。隔ての壁。妨げの比喩。
「骨骼」…骨格

◆1934年の作。
「花びらのごとく降る」のは、午後の陽の光だろうか。それともその光を受けながらゆっくり落下してゆく、正体は未だ見定めがたいものたち。

画面全体には二つの、はっきりと向きの異なる動きがある。
一方は己の身に与えられた重さに従うほかないように降りてくる昆蟲。
他方、断崖をのぼる魚――こちらは自らの重さに抗うように断崖をのぼろうとしている。

これら下降と上昇の間に淡く点描したように風や日射しが揺曳している。
それらさまざまな動きがありながら、全く静かな世界だ。

◆何に属するのか分からないものもある。
――「骨骼」と「思念」だ。
誰の「骨骼・思念」なのか?
――「私の」なのか、それとも「蟲や魚、私をこの世界に産み落とした者の」なのか?



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