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福田須磨子「入浴」[2022年08月10日(Wed)]


入浴  福田須磨子


誰も見ない様に
片すみで後を向いて
シャボンの泡をとばし
そして
誰も入っていないのを
確かめてから
まるで悪い事でもする様に
コソコソと人目をはばかって入浴する
別に人に伝染(うつ)る様な
そんな皮膚病じゃないけれど
奇妙な悲しいくせが
何時(いつ)の間にかついてしまった



水内喜久雄・編著『子どもたちに伝えたい 戦争と平和の詩』(たんぽぽ出版、2010年)より


◆被爆者は、何と多くのものと闘わねばならなかったことだろう。
原爆症、支援の手をさしのべぬ政府、自治体、貧困、人々の目、さらには自分自身を相手として。

しかも、それを昔の人の無知ゆえと済ますことはできない。
フクシマ原発事故による被曝者に対しても同様の偏見や差別が向けられたことを経験したばかりだ。


◆勤務先の長崎師範学校で被爆した福田須磨子(1922.3.23-1974.4.2)は原爆詩集『原子野』(現代社、1958年)や小説『われなお生きてあり』(筑摩書房、1968年。ちくま文庫:1987年)で知られる。

***

◆若い人たちは、「シャボン」という語に戦中〜戦後世代の生活感を覚えるかも知れない。
「シャボン」に代わって「石鹸」という呼び方がふつうになったのはいつごろだろう。
(ラジオやテレビから流れるコマーシャル・ソングはいずれも社名の「石鹸」を歌うのが常であったように思う。)

*上の詩、銭湯で味わう悲しみであることも、内風呂が当たり前の時代にはストレートに伝わりにくいかも知れない。


◆シャボンははるばる海を伝って西洋からもたらされ、異邦の香りとともに長く使われて来た。
一方、「ピカドン」は東方から一気に飛行機で運ばれ、ヒロシマ・ナガサキを原子野に一変させた。爾来、人類滅亡の恐怖がのどが塞ぎ、呑み下すことができないままだ。

もたらしたものの何という違い!






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