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USO二題[2022年07月29日(Fri)]

USOその1

うそ   わたなべみずき


小さな小さなうそがうまれた
うそをすいこみ大きくなる
大きくなって口から出勤
信じてもらえる うそつく仕事
なかなか信じてもらえない
またうそをすいこみかしこくなる
うそをつみあげ仕事成功
みんなが信じた うそなのに
子どもをうんだら その名もうそ
うその赤ちゃん うそをつく
うそは老後を考えて
うそをすいこみ うそをつく
死ぬ時みんなに見守られ
残した言葉 それもうそ


わたなべみずき詩集『気持ちの風船』(かまくら春秋社、2016年)より

◆「うそ」という生き物の生まれてから死ぬまでを描いた作者、この詩集を出したのが11歳の時だったというから驚く。

「信じてもらえる うそつく仕事」とは、詐欺師だったり政治屋だったり、さらにそれを手玉に取る宗教だったりと、数えたてればいくらでもあるように見える。自分はひっかからないから大丈夫と思っていても、うそはうそを糧にして賢さを増していくというのだから、端倪すべからず、だ。
食いものにされるのは「うそ」と無縁の正直者ばっかり、と相場が決まっていて、そこに悲劇が生まれる。


***

USOその2


ウソ   川崎洋


ウソという鳥がいます
ウソではありません
ホントです
ホントという鳥はいませんが

ウソをつくと
エンマさまに舌を抜かれる
なんてウソ
まっかなウソ

ウソをつかない人はいない 
というのはホントであり
ホントだ
というのはえてしてウソであり

冗談のようなホントがあり
涙ながらのウソがあって
なにがホントで
どれがウソやら

そこで私はいつも
水をすくう形に両手のひらを重ね
そっと息を吹きかけるのです
このあたたかさだけは
ウソではない と
自分でうなずくために


郷原宏・選『ふと口ずさみたくなる日本の名詩』(PHP研究所、2002年)より

◆「ウソ」と「ホント」の境目がわかりにくくなるのは「ウソ」の仕業だろうと見当をつけても、目や耳はたやすく欺かれる。だまされないためには、自分の息を自分の掌で受けとめる、そうした直接の感覚をたいせつにすること。
ゆめ、その息に言葉などを乗せてはいけない。

最初の詩が見抜いていた通り、嘘つきは、みんなに見守られて死ぬときでさえ「うそ」を吐くからだ。「ウソばっかりだった」と歴史に名を残すのはみっともないからなあ。




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