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友部正人「空から神話の降る夜は」[2022年06月27日(Mon)]

◆関東地方、拍子抜けするような梅雨明けの報。月は空に無く(陰暦5月29日)星の瞬きが見える夜空だ。こんな夜には何が空から降るだろうか?


友部正人詩集『空から神話の降る夜は』の標題作を――



空から神話の降る夜は  友部正人


空から神話の降る夜は
星のいびきが聞こえます

すっかり灯のない町並は
星の夜空につづきます

物陰でごそごそあらさがし
のら猫は一億年間変わらずに

どこかに顔を忘れてきたぞと
路上でふらつく人の影

月の光を運ぼうと
片足どこまでものばす川

かげぼうしからかげぼうし
つないでいるのは電話線

自分の影を踏みしめて
歩く以外に道はなし

たずね人は遠すぎて
ぼくの思いのありかより

持ち主のない物音に
町は時おり寝返りをうつ

自動販売機にさしこんだ
百円玉の軽い音

空から神話の降る夜は
両足そろえて歩きます


友部正人『空から神話の降る夜は』(思潮社、1986年)より


◆空から「神話」が降る夜は、地上の変哲もない者たちを、ひと晩だけ妖しくきらめかせるのかもしれない。

「どこかに顔を忘れてきたぞ」と言う男は、酩酊しているのか、その脚は月に照らされて長い影を川に落としている。片足だけに見えるのは、すでに地上の者でなりかけている証拠。

見れば町をさまよう影法師はあっちにもこっちにもいて、電線で彼らはつながって入るように見える(誰も顔を失ってしまっていて、どこからか指令が電気信号で送られてきているにチガイナイ)。

浮ついた自分の影が、身から離れて行かないように踏みしめ、チャンと両足が揃っているのを確かめながら歩かないと。
ホラ、今入れたコインの音だって、重力に逆らって浮いたみたいに、心もとない感じじゃないか?


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