• もっと見る
« 2022年05月 | Main | 2022年07月 »
<< 2022年06月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
森崎和江「そのあたり」[2022年06月20日(Mon)]

森崎和江『地球の祈り』(深夜叢書社、1998年)から、さらに短い一篇を――


そのあたり   森崎和江


霧ふかく
みえないもの
みえないまま

川にあるあたり
山のあるあたり

わたしのいない そのあたり
人のけはい

かなしみのいろの
坐るけはい

ふれないまま
みえないまま


旅をゆく



◆短いだけでなく、ふかい霧につつまれてみえない。遠く深い世界をあゆむ者の気配を感知している。
それを「かなしみのいろ」とひらがなで表している。
「悲しむ・愛しむ・哀しむ」のいずれをも含んでいて、ひらがなが表しうるものの深さに驚く。

◆「そのあたり」とは未来を指しているようだ。先だった者の向かった先、自らの命終のその先に続く時間。(*この詩に接しながら、前々回のアルテミドロス〈夢は未来のことを表わす〉がなお頭の中に残響している感じがする)


| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml