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クァジーモド《わたしたちは、ここに、/閉じこめられ……》[2022年05月12日(Thu)]


一九四四年一月十九日  クァジーモド
                     河島英昭・訳


古代の妙(たえ)なる詩篇をあなたに口ずさむ、
東の土地の流れのほとりで、天幕と
葡萄畑のなかに生まれた言葉、
戦いの夜のこの深い静寂のなかを荒涼と
またもの悲しくそれらはいま落ちてくる、
この暗闇に死の天使たちの空を
走るものは誰もいない、そして
風に乗って聞こえてくる崩壊の轟きは
この頭上の回廊を仕切る鉄板をゆるがし、
そして人気(ひとけ)の無い街路を駈け抜ける警邏(けいら)
小銃の音にあわせて、裏庭から
吠えたてる犬たちの声とともに、
憂愁が立ち昇ってくる。誰かが生きている。
おそらくは誰かが。だがわたしたちは、ここに、
閉じこめられ、古代の声に耳を傾けて、
命を越えるひとつの証(あかし)を、
暗い大地の魔力を探し求める、
崩れゆく墓石のあいだに
またもや毒草が花をもたげてはいるが。



河島英昭・訳『クァジーモド全詩集』(岩波文庫、2017年)より


◆第二次大戦中、反ファシズムの立場を持したイタリアの詩人、サルヴァトーレ・クァジーモド(1901ー1968)の詩。
日付けはイタリア戦線における戦いをあらわしているのだろう。
(ソ連軍がドイツ軍によるレニングラード包囲網を突破した1944年1月下旬、イタリア、モンテ・カッシーノでは、連合国軍が独軍戦線の突破とローマ解放をめざす戦闘が始まった。

◆瓦礫の下に埋もれた人々、あるいはすでに息絶えた人々――この詩の「わたしたち」には、すでに墓に葬られた者も含まれているのだろう。

では、いま、ウクライナで――ロシア兵であれ、ウクライナ兵であれ、あるいは非戦闘員の市民であれ――人間として正当に葬られることのないまま捨て置かれた人々は…………


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