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福冨健二「記憶は生きている」[2022年02月06日(Sun)]

◆佐渡金山の世界遺産登録申請をめぐり、「歴史戦」という言い方が一部でもてはやされているそうだ。
自分に都合の良い「歴史」だけを事実とみなすのは歴史の捏造にほかなるまい。隠そうとするほどに露わになるのは夜郎自大の大国意識と他民族(とりわけアジアの人々)を見下す姿勢だ。

*******


記憶は生きている  福冨健二


ここに
一つの出来事がある
分かり切ったことだが
出来事は
出来事に
遭遇した人の
主観の筆で
描かれ
記憶される
だから
記憶には客観の完成はない
あるのはただ客観的であろうとする
あろうとする主観があるだけである
分かり切ったことだが
記憶は主観の技術で描かれる
主観は時の敵ではない
時の視線に晒されると
主観の線はひとりでに歪曲し
主観の色はおのずから褪色する
氷室の氷のように
ゆっくりと
出来事の記憶は変容し
もはや
ここにある
一つの出来事の
正確な
一部始終は
誰にも分からない
分かり切ったことだが
記憶は生きている
だから
小さな世間も
大きな世界もときどき激しく混乱する


『一本の草は思った』(土曜美術社出版販売、2020年)より

◆「主観は時の敵ではない」のに、「時」を味方につけようとして歴史のでっち上げすら行う。元号を麗々しく発布したり、公文書や統計データ、果ては選挙結果まで改竄したり。世間や世界は混乱どころか戦乱に突き進みかねない。



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