喪中欠礼はがき[2021年12月29日(Wed)]
◆喪中を報せるはがきの中に、甥夫婦からのものがあった。
年末年始の挨拶を失礼することばの後に、次のような添え書きがある。
皆様よりいただく年賀状を毎年楽しみにしております
こちらの喪中はお気になさらず
年賀状をお送りいただけましたら幸いです
構えのない、開かれた心配りが伝わってくることばだ。
状差しに収めたら、そこだけほっかりあたたまっているように感じる。
時々読み返すだろうナ、と思う。
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手を みくちけんすけ
手を翳して
とおくのほうを視て
見つけたと信じたものは
思い込みか幻影か
試行錯誤というやつで
つまりはなんとかなってきた
ことしもカレンダーは最終月
手をのばして
なにかを摑むなにかを握る
なにかを放すなにかに逃げられる
そのあとになにかが残ったかしら
けっきょく自分は
なにをしたかなにをしなかったのか
収支に穴をあけなかっただけ
手を振って
人と別れる人を招く
別れは哀しみだったろうか
出会いは歓びだったろうか
かけまわった時間とゆるりとした時間
ながく生きる退屈と刹那さ
喪中欠礼のはがきがつづいて届く
詩集『風歌(そえうた)』(土曜美術社出版販売、2019年)より
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◆同じ詩集から今年1月には「耳に」という詩を紹介していた。
300日以上を隔てて再び出会ったことになる。
こちらの好みがあまり変わっていない証拠であると同時に、何かしら「えにし」があるのだろうと思う。
★2021年1月25日記事
【みくちけんすけ「耳に」】
⇒https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1841