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〈金〉:野村英夫「心のなかで」[2021年12月14日(Tue)]

◆日本漢字能力検定協会が主催し清水寺貫主がしたためることになっている「今年の漢字」はまたまた「」。
五輪の「キン」をイメージした人も多いだろうが、給付・支援金や新紙幣の「カネ」を連想する人も多いはずだ。
「金」が選ばれたのは実に4度目だそうだ。「カネ」に振り回される怨嗟の声も込められているかもしれないけれど、我々の身の内に拝金病が居座ったことを意味するようで、やりきれない。
何よりも、味気なく夢がない。

折も折、少し前に「カネメでしょ」と言ってのけた愚かな自民党前議員が、せっかくありついた内閣参与の席を失ったのも、やはり「カネ」がらみ。皮肉と言うもおろかナリ、だ。

古都の名刹の貫主が揮毫する図をくり返させるのは、気の毒を通り越して、仏教界の見識をも疑わせる。かかる沙汰もまた「カネ次第」ということか。

◆解毒剤代わりに詩を一つ。最終行の「金」の一字、読み方はただ一つ、「きん」以外にありえない。


心のなかで  野村英夫


陽を受けた果実が熟されてゆくやうに
心のなかで人生が熟されてくれるといい。
さうして街かどをゆく人達の
花のやうな姿が
それぞれの屋根の下に折り込まれる。
人生のからくりと祝福とが
一つ残らず正しく読み取れてくれるといい。
さうして今まで微かだつたものの形が
教会の塔のやうに
空を切つてはつきりと見えてくれるといい。
さうして澱んでゐた繰り言が
歌のやうに明るく
金のやうに重たくなつてくれるといい。


嶋岡晨=編国八十八ヵ所巡り』(洪水企画・燈台ライブラリ3、2017年)より。

『野村英夫詩集』(角川書店、1953年)所収の一篇。
野村英夫(1917‐1948)は四季派の詩人。上記詩集には堀辰雄が跋を寄せている由。



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