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橋嬉文「九条川」[2021年12月06日(Mon)]


◆アンソロジー『詩と思想 詩人集2021』に収録された「九条川」は、たまたま原詩集が手元にある。
日米開戦80年の日を迎えるにあたり、引いて置く。


            よしふみ 
九条川   橋嬉文


音もなく
流れる九条川
岸辺に立ち目を凝らせば
たえることなく流れくる
三百十万人の
祈りの姿

ひそやかに
流れる九条川
夕陽に映える川面の
(きら)めきわたるさざ波は
三百十万人の
くれないのなみだ

滔滔と
流れる九条川
岸辺に立ち耳をすませば
水底(みなそこ)から湧き上がる
三百十万人の
祈りの声

流れよ 流れよ
九条川
静かにも力強く
永遠に尽きることなく
流れよ 流れよ
九条川

九条川は
尽きることなく流れきて
尽きることなく流れゆき
海に至りても
消ゆることなく
遠く水平の彼方に
一筋の海流となって
やがてとつくにの岸辺に
平和を祈る波となり
絶えることなく打ち寄せるのだ

見よ!
歴史を学ばぬものよ
絶えることなき九条川の流れを

聴け!
理想を持たぬものよ
絶えることなき九条川の祈りを


詩集『九条川』(土曜美術社出版販売、2020年)より

◆詩集名となっている作品だが、『詩と思想 詩人集2021』では、第五連の終わり4行を次のように改めてある。

一筋の海流となり
やがてとつくにの岸辺に
平和を祈る波となって
絶えることなく打ち寄せるのだ


二箇所の赤字部分が入れ替わった形だ。
どちらが好ましいかと言えば、原詩集の方を採りたい。

「九条川」の尽きぬ流れが、海の向こうの国々までも打ち寄せてうねりを届けるためには、強い祈りの力が必要だ。

朗読した場合、原詩集のかたちの方がより力強い。
とりわけ「平和を祈る波となり」の部分。一音節短くなることで、次行に向かい一瞬力を矯めてからなだれ込む勢いをもたらすこと。
さらに「祈」「な」とラ行が二つ連なることによって、次行の「絶え」「打ち寄せ」と相乗効果を発揮することになるからである。


橋嬉文『九条川』表紙.jpg



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