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谷敬「噴火ののちに」[2021年11月24日(Wed)]

◆けさ愛知県の中学校で起きた事件、事情は未だほとんど分かっていないが、何かこの社会の地表から底知れぬものがマグマのように噴出しているように思える。

電車で居合わせた不特定多数に刃物をふるう老若、身内に対して凶行に及んだケース……かくも立て続けに起こる事件に通底するものに対し、想像力を届かせ得るか、試されている時代としか思えない。


*******


噴火ののちに  谷敬


空はどこまでも吹かれていた
赤い砂をいちめんに捲きあげて
地球はひたむきに
円形であることを確かめようとしている

短い赤さが噛み合っていた
浮遊し 折りまげられ
おびただしく呼ばれて降りてきた
つもり始めた
それを空気のように土と混ぜ合い
しずかに置いた

ぬかずくように 朝がきた
つもった形の土を
ひとびとは鐘と呼んだ
あけぼの色にこたえるために
手にとって 鳴らした



谷敬・詩とエッセイ『光、そして崖』(津軽書房、2000年)より

◆滾り、爆発し、あまねく焼尽せしめたのちに、しずもり、沈降して成った土の鐘……
それらをすべて見届け、再び迎えた暁の光に祈るひとびと……
何万年もの天地創造を、わずか一日のできごとのように描いた詩。





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