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アフガンに向けるまなざし:日下新介「寿陵」[2021年11月11日(Thu)]



寿陵  日下新介


アフガンの戦場の
荒涼とした砂漠の中に
小石で囲まれた幾つもの墓がテレビに映し出される
誤爆という名の無差別空爆によって殺された
子どもの小さな墓 女や老人の墓
名前を刻まれることもなく
墓とはいいようもない粗末なもの。

昔から
王侯・貴族たちが造らせた巨大な墓は
貴重な副葬品と共に文化遺産として歴史に記録されるが
それらを造った人たちは
どんな墓に葬られたのだろう。

つい半世紀も前のこの国では
「水漬く屍 草生す屍」と
朽ち果てることをしいられた兵士でさえ
故郷では一基の墓となり
墓石にはその名が刻まれている。

先祖伝来の墓地のない私は
鳥葬とか風葬とかは今の世にふさわしからず
散骨もまた心もとなくて
落ち着く場所にと寿陵を造った。

墓の中には まず
離郷のとき父からもらった腕時計を
父の分骨と共に納めた。
教えのままに
(いくさ)の庭へと思いつめた少年の日々にも
ひたすら息子を案じた父の思いを封じて。

ひとが老いとよぶ歳月まで生き抜いた私は
死後の居場所まで決めることのできる幸せ者だが
アフガンの子らは砂漠の石ころの下
冬嵐の中で
夢を見ることもなくて埋れて……。


   *寿陵 生前に建立する墓石のこと。


 『日下新介全詩集』(コールサック社、2014年)より


◆詩人の第八詩集『塩せんべいの唄』(詩人会議出版、2007年)に収録された詩。
政体が変わってもアフガニスタンの困窮は一向に改善されていない。
今年8月の米国ほか各国の軍や援助組織の撤収以後、現地の状況は散発的にしか伝わって来ない。
メディアも含めて世界は再び、彼の地を見捨てたのである。

◆先日、タリバンによる遺跡破壊が再び進むのではと懸念する新聞記事があった。
そのことも問題ではあろうけれど、冬を控えて犠牲になるのは、結局子どもたちや女性たちだ。まずは彼の地の人たちの命の危機を真っ直ぐとらえ国際世論を動かして欲しいと願う。

アムネスティや国境なき医師団など、支援を続けている人々の努力には頭が下がる。

一方で、林芳正・新外務大臣の会見、そうした国々への目配りはゼロだった。




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