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飯舘村の長谷川健一さん逝く[2021年10月31日(Sun)]

◆福島県飯舘村の酪農家、長谷川健一さんが22日に亡くなった。
訃報を知ったのは今週号(10月29日号)の『週刊金曜日』、明石昇二カさんの記事によってである。

飯舘村前田地区の区長として、東電福島原発事故による被曝の危険を訴え、避難と酪農家の救済を身を挺して進めた人だ。

メディアの取材に積極的に応じるだけでなく、全国で講演活動も続けて来た。

死因は、甲状腺がん(甲状腺扁平上皮がん)だという。
避難にあたっては誰よりも子どもたちや若い世代を被曝から守る必要を訴え、自分自身の避難は一番後回しにした。運命のむごさという以上に、被曝の恐ろしさを思うべきだろう。

事故後、自分よりも若い人たちが相次いで亡くなることに胸を痛めていたその本人が、がんによって帰らぬ人となってしまった。
享年六十八。
その不退転の行動力と、ふるさとの人々と家族のために全霊を傾けた生き方に深く頭をたれて哀悼の気持を捧げるばかりです。


◆2012年3月3日に横浜市で開かれた講演を聴くことが出来た。
事故後1年を前に出版したばかりの著書を会場で求めた。
その一節を改めてかみしめたい。


放射能汚染の事実といい、事故の規模といい、実際に原発事故が起こってしまった時に「本当のこと」は、なかなか明らかにはされません。初めは過小評価気味に、そしてその後は小出しに明らかにされていくのです。
となれば、私たち一般市民は一体、誰のいうことを信じればいいのでしょうか? 先々になって後悔しないためには、どうすればいいのでしょうか?
原発の大事故が起きた時、政府⇒御用学者が言っていることを鵜呑みにしていると、取り返しのつかないことになります。
彼らはまったく当てになりません。原発事故とは、そういうものなのです。このことは、福島原発事故の被害者が身をもって学んだ教訓と言えるでしょう。その教訓を、二一世紀を生きる子どもや孫たちの世代の未来のために、ここにハッキリと記しておきます。



長谷川健一原発に「ふるさと」を奪われて表紙.jpg

長谷川健一『原発に「ふるさと」を奪われて 福島県飯舘村・酪農家の叫び』(宝島社、2012年)

◆表紙帯の写真は2011年5月25日、ジャーナリスト森住卓(たかし)さん撮影のもの。

村で起きていることを記録しようと長谷川さんはビデオカメラを回した。
牛乳は廃棄せざるを得ず、牛たちについては可能な限り引き取ってくれる先を求めて奔走したにもかかわらず、一定数は屠殺するほかなく、手塩に掛けた家族同然の牛たちを選別しなければならなかった。
長谷川さんの頰を伝う涙に、コロナ禍の今年、命の選別を強いられた医療従事者の苦悩を重ね合わせてしまう。

◆あれほどメディアの取材に協力した長谷川さんであったのに、訃報はごく一部にしか載らなかったようだ。事故についても被曝した人たちについても忘れてしまったかのような政治とマスコミ。

自分の目と耳と頭で情報をとらえて判断し、打開策を追求した長谷川健一という人間の〈知*情*意*勇気〉に学ばなければならない。



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