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川崎洋「ねぶた」[2021年06月05日(Sat)]

◆今年もねぶたは中止だと。
青森でやらなければ湘南ねぶたも出ない。こちらは六会日大駅前ビル改築のために途絶えて3年になるか。

せめて詩の中だけでも跳ねておこう。四十年前の夏、平和の笛・太鼓・鉦。

***


ねぶた   川崎洋
   一九八一年八月四日・青森


小雨のなかつぎつぎとやってきたのだ
独限竜政宗が鬼神のお松が金剛力士が
巴御前が鳴神が酒呑童子が坂田金時が
坂上田村麻呂が
おお 大げさばんざい
ねぶたで昔は死者が出たというが
今はその何倍もの人間が喧嘩もせずに路上に
仆れる時代


俺は旅人つまり余所者なれば許されぬ筈なのに
こころやさしき津軽びとは
「川崎さんねぶたは跳ねるか見ないかだ」と
そこで俺は桃色の腰巻に浴衣がけ
黄色い帯に赤いたすきがけ 小鈴十数コ下げて
花笠かぶリ ガガスコ腰に
ラッセラーと跳ね人(と)の潮流のただなかへざぶり


そこここで生まれる絶叫とジャンプの渦は
ほとんどがとりあえず明日は戦場へ発たなくて
いい若者ども そのなかに
叫びもせず跳ねもせず手をつないで流れていく
恋人同士を幾組か見たのだ
いい それもいい うまくやれよ
のせられて銃眼をのぞく羽目になぞ
決してなるな
跳ねながら俺はそう大声をあげたのだ



目覚める寸前』(書肆山田、1982年)より

※ガガスコ…ハネトが腰に提げる鉦(かね)
叩くほか水・酒を注ぐ器ともなる。津軽びとは「ガガシコ」と発音しているつもりだが、「旅人」には「ガガスコ」と聞こえたものと思う。


川崎洋「最後の象」[2021年06月05日(Sat)]

◆先週、中国雲南省で象たちの群れが謎の大移動を続けているというニュースがあった。
環境の変化で生じた餌不足の解決のためでは、と取り沙汰されているが、真相は分からない。
明らかなことの一つは、これまでの生息地域の北限を越えたということ。
何かの予兆でもあるのだろう、と受けとめて、地球上の生きものの運命に想像をめぐらす時かも知れない。


***


最後の象   川崎洋


最後の象が
いま
前足のひざを折ろうとしている


最後の象の鼻は
先込めの種子島銃のように
火薬の匂いがいっぱいにつまっているので
もう
水のにおいをかぐことができない


秋なのか冬なのか
春なのか夏なのか
わからない ずい分前から
別の季節がひろがり始めているので


最後の象の悲しみは
絶えた仲間たちの合計分
とても測り切れない


最後の象には
さよなら を
告げる
相手
がいない



『目覚める寸前』(書肆山田、1982年)より




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