世の中穴だらけ[2021年05月18日(Tue)]
◆命じればその通りになる――上が思えば、その下の者もおんなじように振る舞う。
群馬県・太田市の清水聖義(まさよし)市長に政府の役人が電話攻勢をかけた。
ワクチン一箱も届いてない段階でだ。
電話の主は総務省の交付税課長だ。
スガ首相が高齢者のワクチン接種、7月中に官僚を、と大見得を切ったことを受けて、地位・カネにモノを言わせようとしたのだろう。
同様に一日一万人接種をブチ上げた自衛隊動員しての大規模接種計画もまた、予約システムの不備が早くも露呈した。
権勢欲という名のゴキブリが世の中を食い荒らしている。
底なしの穴をあちこちに空け放題だ。
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穴 天野忠
宇宙にも穴がある
人間の心にも穴がある
口は小さいようで底は深い。
何を放り込んでも埋まらない
名誉や地位を放り込んでも駄目
才能や知性を放り込んでも埋まらない。
物好きな人は
穴の中を覗き込むが
何も無い。
だから
蓋(ふた)をして見ないことにする。
でも
いつのまにか
その蓋が無くなっている。
『掌の上の灰 天野忠詩集』 (編集工房ノア、1982年)より
◆「蓋が無くなっている」のは、誰かが穴を目立たないように取り繕っているのか、それとも、すっかり穴だらけで、蓋など益体(やくたい)なし、ということなのか?