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ハンカチの木(肌勢とみ子「中くらいの木」)[2021年01月27日(Wed)]

◆ハンカチの木というのがあると次の詩に教わった。
10〜20mほどにもなる高木で、ふわりとした苞がハンカチのように見えるという。

*画像はNHK「趣味の園芸」のサイトなど
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-920

花が咲くのは苗から10年ほど経て3mくらいになって、というから、それまで根気を持続させることが必要か。


中くらいの木    肌勢とみ子

心の中に大きな木があれば
どんなに頼もしいことだろう
つまらない思い違いをして心が揺らぐこともないし
小さな段差に躓いて転んでしまうこともないだろう

大きな木に決めていた
大きければ大きいほどいいと思っていた
空の上から丸見えだと気付かずにいたから
張り出した枝の先まで葉を茂らせるには
どれほど多くの水が要るか知らずにいたから

(つがい)のムクドリが選んだのは庭のハンカチの木
小さくはないが天を突くほど大きくはない
いわば中くらいの木だ
成長点を切られて幹の周りを囲むように
四方八方に枝が出て天然の笊のようになったところに
お誂えむきの巣が出来上がった

中くらいの木の上の巣は
近くの大きな枝で雨と直射日光から守られ
足元の小さな木に猫の視線を遮らせて
安全に雛を育てた

心の中に木を植えよう
葉が風にサラサラと鳴る
中くらいのハンカチの木を


肌勢とみ子詩集『浄玻璃の鏡』(土曜美術社出版販売)より


◆未だ見ぬものがある、ということは、残り時間少ない者にとっては、この先の細径を歩む足元をずいぶん明るいものにしてくれる。




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