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呉美代「クラス会」[2020年10月03日(Sat)]

クラス会  呉美代

すすきの群れが空を洗っている
銀の柔毛が飛び交う
明るい週末を
車窓が運んでいく

湯気のなかでゆれている
白い歯から
なじんだ顔が生まれて
肉体の切口がたがいに繋がれる
年月は着物を脱いで
なまなましい呼吸をはじめる
ズームアップした校庭の
白いラインを走る若鹿の曲線
萩のこぼれる石垣でさえずる
おさげ髪の小鳥たち
グラスに映る青い枝から
黄色い花粉が飛び
紅の花びらがこぼれる

傾いた陽を
コートのボタンに閉じ込める
神の愛しはじめた髪に
銀色の穂が光っている
くびすを返すと
拭われた空に血がにじんでいた
どこからか爆音が聞こえてきた


小海永二 編『今日の名詩』(大和書房、1990年)より

◆3つの連の各情景が、序破急の展開を見せて映画のように鮮やかだ。
クラス会の会場へと向かう電車の窓から見えたススキの穂、料理を囲む思い出話にたちまちよみがえる若き日々。
そして最終連、会はお開きとなり、コートに身を包むそれぞれの髪に白いものがまじり始めたのを夕日がすすきよりも美しく輝かせる。
だが、身をひるがえした刹那、和やかな余韻は一瞬にして心理的に転換する。

夕焼け空の鮮紅が、戦争末期、空襲に追われ、あるいは戦場に散った自分たちの青春を思い起こさせたのだ。

作者は1927年生まれ。鎌倉の女学校(現在の鎌倉女学院)に学んだという。



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