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田村驤黶u影の馬」の〈鬣 たてがみ〉[2020年07月30日(Thu)]

DSCN3926.JPG

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影の馬  田村驤

空と地を分つもの
それは満天の星にきらめく
水平線
あるいはどこまでもつづく
地平線

空と地をつなぐもの
イルカの歌声
一本の大きな楡の木
歩く人
(たてがみ)を風になびかせ
あさぎ色の地平線を一直線に
駈けぬけて行く馬の影 影を追う馬

空には雲の魚
地には影の馬

人間の魂だけが
燃える太陽の意味を知る


 *青木健 編『田村驤黹Gッセンス』(河出書房新社、1999年)より

◆たとえば第2連「イルカ」には、西脇順三郎の『Ambarvaria』の一編、有名なこの詩集の中でもとりわけ良く知られた「太陽」の一節、〈少年は小川でドルフィンを捉へて笑つた。〉の、少年とイルカの歓声、水しぶきの音とともに反響している(中学三年の時に『Ambarvaria』を古本屋で手に入れ、詩の世界に引きずり込まれた田村驤黷フ、西脇へのオマージュでもあるだろう)。

音だけではない。
来る日も来る日も地平線から上り水平線に沈む太陽は、空にさまざまな魚たちの姿を描き出す。時に舟どころか地上にあるあらかたのものを一口に呑む大魚であったり、また時には群れる幾万ともしれぬ小魚たちの姿だったり。

◆一方で太陽は地上に「影の馬」を映し出す。
(「影の馬」はむろん、水辺のイルカと少年→大地から高く高く伸びる楡の木→大きな歩く人、その高いシルエット、と想像の連鎖から生まれたものだ。)

ただ、馬の細部をいちいち描写するやり方はとらない。
「鬣」という一部をもって馬全体を表してしまう。

おそらく、この詩の誕生には、この特徴ある漢字がもたらすイメージが最初に存在したのだろうと思う。ギリシア神話のペガサスであれ、太陽神ヘリオスを乗せた馬車であれ、駈け抜けるものの影をほうふつとさせる動的な文字「鬣」。そこからこの一編は生まれたと言って良いように思う。







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