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〈心の世界には部屋のない窓がある〉[2020年07月22日(Wed)]

DSCN3892.JPG
オクラの花

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Nu  田村驤

窓のない部屋があるように
心の世界には部屋のない窓がある

  蜜蜂の翅音
  ひき裂かれる物と心の皮膚
  ある夏の日の雨の光り
  そして死せる物のなかに

あなたは黙って立ちどまる
まだはっきりと物が生れないまえに
行方不明になったあなたの心が
窓のなかで叫んだとしても

  ぼくの耳は彼女の声を聴かない
  ぼくの眼は彼女の声を聴く


詩集『四千の日と夜』所収。
青木健 編『田村驤黹Gッセンス』(河出書房新社、1999年)によった。

◆「部屋のない窓」が読む者を不思議な磁力で引きつける。

実際にはそうした窓は存在しない。
それが存在するのは、詩や絵画においてである。

引きつけられるのはそこに「窓のなかで叫」ぶ「あなたの心」が聞こえるからだ。
「窓のなか」とは窓のガラスとガラスの間とも、ガラスそのものの中とも、窓枠によって画された窓とも取れるが、いずれにしても「部屋のない窓」である。
窓を開けて部屋の中を覗くようにすればそこに「心」があると思う人にはそれは聞こえもしない。まして彼らが、叫ぶあなたの姿を見ることはない。

現実には存在しない(としか人々には思われない)「窓」を言葉で在らしめることで、ぼくには叫ぶあなたの姿が見える。
「ぼくの眼は彼女の声を聴く」=「眼」が「聴く」と表現したゆえんである。



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