「ウポポイ」をめぐる萩生田発言[2020年07月10日(Fri)]
イヌマキ。先日載せたのと同じく雌株の方で、丸い実の下に細長い果床という部分が、トーチの持ち手のように付いているのが見えた。
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◆萩生田光一文部科学相が10日の会見で、民族差別への無理解をあらわにした。
明後日オープンする先住民族アイヌをテーマとする国立博物館「ウポポイ」をめぐり、アイヌの人々が受けた差別の歴史をどう伝えるか問われてのコメントだ。
朝日新聞によれば「原住民と、新しく開拓される皆さんの間で様々な価値観の違いがきっとあったのだと思う。それを差別という言葉でひとくくりにすることが、後世にアイヌ文化を伝承していくためにいいかどうかは、ちょっと私は考えるところがある」と述べたという。
「原住民」という差別的な語を用いて平気であることに驚く。
「価値観の違い」としてアイマイにする言い方も、差別した側に立った自覚を欠いたまま、負の歴史を覆い隠すものだ。
報じる側も、「持論」と書いただけでは、中立的表記を盾にして実際は差別した側に加担することにしかならない。「差別の歴史、修正の意図か」程度の指摘はすべきところだろう。
萩生田氏のコメントは上西充子・法政大教授の言うアベ首相「ご飯論法」と同じく、論点をずらす話法である。
それだけでない。ソフトな言い方のようでいて、底意を探れば、「差別という視点にこだわるなら、この施設を活用したアイヌ文化伝承にも支障が出ることになりますよ」と圧力をかける用意があることをほのめかしたともとれる。
文科省が息しづらい役所に成り下がったのは先刻承知だが、「民族共生象徴空間」と銘打ったアイヌ民族をテーマとする初の国立民族博物館である「ウポポイ(大勢で歌う、の意味)」、自由に呼吸できる「窓」がちゃんとあるだろうか?
【朝日新聞7/10】
アイヌ差別の歴史に持論 萩生田氏「価値観違いあった」
⇒https://www.asahi.com/articles/ASN7B5GDXN7BUCVL00V.html