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川崎洋「どうかして」[2020年07月08日(Wed)]

DSCN3788アカメガシワ?.JPG
アカメガシワだと思う。若い時期の赤い葉はよく見かけるように思うが、白い花が顔を出しているのが珍しい。場所さえ与えられれば高く伸びる樹であろうに、舗装の隙間に芽を出したばっかりに、いずれ刈られてしまう運命なのが気の毒だ。

*******


どうかして  川崎洋

(き)          
なんとかお前に交わる方法はないかしら
葉のしげり方
なんとかお前と
交叉(こうさ)するてだてはないかしら


お前が雲に消え入るように
僕がお前に
ずっと入ってしまうやり方は
ないかしら
そして
僕自身も気付かずに
身体の重みを風に乗せるコツを
僕の筋肉と筋肉の間に置けないかしら

夕陽(ゆうひ)
教えておくれ
どうして
坂の上に子供達が集まって
お前を視(み)るのか
どうして
子供達は
小さな頬(ほお)の上に忙(せわ)しく手を動かして
まるで
夕陽をそこに刷り込む様にして
其処(そこ)
歌かおしゃべりか判(わか)らない喚声が
渦を巻くのか
日の暮れ方を教えてくれ
森の色の変わり方を
蜻蛉の羽の透きとおり方を
土の湿り方を
粗い草の匂(にお)い方を
教えておくれ


ハルキ文庫『川崎洋詩集』(2007年)より。

◆川崎洋は『教科書の詩をよみかえす』(ちくまプリマーブックス、1993年。のち、ちくま文庫、2011年)の中で、自作からこの1編をとりあげて解説している。それによれば、26歳ころに書いたもので、こころの原風景として存在する東京大田区・馬込かいわいのイメージに背中を押されるようにして書いた、と振り返っている。
昨日の長田弘の紀行について「大気のように向こうからやってくることばを、大きく吸って」と書いた。その伝で言うならば、川崎のこの詩では、鳥は鳥自身のほうから雲の中に入ってゆくのであり、自分も、そのように鳥や樹の中に入ってゆきたいと焦がれている。
世界の不思議に遭遇したとき、その秘密が知りたくて子どもは対象の中に分け入り、それとの合一をすら願うのだが、不思議の度合いは増すばかり。世界は不思議に満ちていて、飽きることがないと知るだろう。そうなったら「教えておくれ」というほかない。
「知らない」ことが成長のエネルギーになるのだから、これは無尽蔵だと言ってよい。



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