〈間違い〉なのか[2020年04月21日(Tue)]
死すべき者 ゴンサロ・ロハス
寺尾隆吉=訳
あらゆる死すべき者と同じく、私は空気、空気、
恐ろしい大飛行、そして今、星に立ち寄る、
繰り返し言おう、人間たちは今や互いに接近している、
爆発そのものが間違いなら間違いなのだ、
愛し合おうということ自体が間違いなのだ。
◆昨日と同じくグレゴリー・サンブラーノ編(寺尾隆吉=訳)『ゴンサロ・ロハス詩集(アンソロジー)』(現代企画室、2015年)より。
コロナ禍の今を宇宙から俯瞰したかのような詩。
宇宙の開闢と言われるビッグ・バンの果てに漂う人間たちが、無辺際の孤独の余りの耐えがたさゆえに、あい寄り番おうとする習性を獲得してきたことがそもそも間違いだった、ということになるのか。
◆あちこちで感染への恐怖から差別やいじめ、憎悪の攻撃が起きているという。
アジア系の人々に対するヘイトクライム、家庭内の暴力、果ては休業に協力しない企業や店を公表すると、自治体首長自らが市民に相互監視と密告を煽動する発言まで。
排除の論理が喝采を博すなら、酔いどれたちが徒党を組んで打ち壊しが続出するだろう。