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〈たった一つの宿題〉[2020年04月05日(Sun)]

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桜をつつくコゲラ

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◆久しぶりに仲間と出かけるのだろう、10人くらいの中学生たちがふざけ合い、後になり先になり歩いて行った。

***

境 節(さかい せつ)は、1945年の敗戦をソウルで迎えた。13歳だった。
へいわに生きることのかけがえのなさをからだ全体で受けとめている詩があった。



そこまで   境節

手と目のよろこびにみちて
この地に立つ
宇宙の真ん中に存在している
気に満ちて
そこまで到達せよ
そそのかされているのだろうか
死んだ友が
はるかなところから呼んでいる
ふたりの友の名前を
海にむかって くり返しさけぶ
きみたちに残されたものは
たった一つの宿題だ
自分をふかく読み返せ
なんとか出来たくらしの中で
木洩れ日を受けている
あの家も この家も
どうにか へいわに くらしているのか
生きるのって いいことだね
と 小学生がおしえてくれる
大変だ 大変だ と
子どもたちが 言いあいながら
ふざけている
それでいいの?
これでいい と
思えるところまで
とべ


 境節『十三さいの夏』(思潮社、2009年)より

◆生き延びたからこそ言えることばは、いとも易々と目の前から消えた友の命の意味を、「宿題」として自分に課して生きる意志の表明だ。

「生きるのって いいことだね」ということばを、コロナ禍が終息した朝に、我々も口にするだろうか。


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