学力テスト「延期」…中止&廃止を[2020年03月16日(Mon)]
◆新型コロナウィルスのあおりを受けて、4月16日に予定されていた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)が延期の見通し。明日17日に文科大臣が方針を表明する予定とのことだ。
当然の話だ。
ただ、延期では生ぬるい。引きずり続けていては本来の学習活動再始動が遠ざかる。
これを契機に今回は中止し、テストそのものの見直しにカジを切った方が良い。
◆学力テストは中学3年、小学6年の子どもたちを対象に第2次安倍政権下になってからは悉皆調査で行われて来たが、弊害ばかりが目立って来た。
順位や結果の上下を気にして、子どもたちや教職員の尻をたたく自治体が現れたり、過去問に慣れさせるなどの対策に時間・精力を費やしたりする本末転倒も珍しくない。
中には少しでも平均を上げたいために、学力下位層の子どもたちを受けさせないという例もあった。
◆また、テストと同時に行って来た児童・生徒と学校に対するアンケート調査では生活態度とテスト成績との相関を見るために、「学校の決まりを守れているかどうか」「地域のボランティア活動参加の有無」などの項目もあり、これら調査項目に沿う態度を持つように子どもたちに一定のタガをはめ続けている。学校への質問には「博物館や科学館,図書館を利用した授業を行ったかどうか」という項目もあり、地域差を無視したものというしかない。英語民間検定試験の活用問題と同じく都市部を標準にした地方無視の姿勢である。
問題は、学力のみならず生活習慣や生活態度まで調査項目になっていることで、家庭や地域での生活までが評価を意識したものになってしまうことだ。息苦しい話だ。
テストを目前にした小学校5年生や中学2年生の後半には、「指導」を名目とした子どもへの教員達の𠮟咤が不幸にして生徒を追い込んでしまった例もある。
イジメ問題の背景には、こうした管理・監視が中心の学校内外における抑圧があるのではないか。
◆これらは、学力テストがスタートする前の段階ですでに指摘されていた問題だ。
実害が生じないように対策を講じておくことが必要なのに、それを怠ってきたツケが子どもたちを苦しめている実態を認識すべきだ。
公費を投入して弊害の大きいものを惰性で続ける理由があろうはずがない。
「抽出調査」に戻す程度では不充分、学力テストは潔く廃止すべきだ。