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堀口大學「歴史」[2020年02月18日(Tue)]

不思議な植物に出会った。
洋菓子のような鮮やかに赤い粒々。

DSCN2738虹の玉(セダム).JPG

多肉植物なのだろう。
すぐ横に、色づく前と思われる緑を残した状態のものも植わっていた。

DSCN2741虹の玉(セダム).JPG

特徴がはっきりしているから、検索で探しやすかった。
セダムという多肉植物群の一つ、「虹の玉」という名前らしい。


*****

◆先週2月10日、黒川検事長の定年延長が法令違反ではないかと、山尾議員が国会で追及した。これを読売新聞がその日のうちに記事で取り上げていてオヤッと思った。政権べったりで提灯記事もいとわぬ同紙にしては珍しいと思ったのだ。

【2月10日読売オンライン】
検事長の定年延長、過去の政府見解に矛盾…山尾議員「違法」と指摘
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200210-OYT1T50143/

◆政府の逸脱・無軌道ぶりに読売も愛想づかしをしたというほどではない。
読売がこの件を今後どう扱うか見定めがたいが、少なくともメディアにしろ政党にしろ、組織は、多様な価値観・発想の持ち主が内部にいて活躍の場を保障されていてこそ活力は持続するだろう。
読売にしてからが、かつては大阪本社社会部が社会の木鐸として大いに存在感を示した時代もあった。

◆そう言えば詩人の中桐雅夫(1919-1983)も読売新聞にいたのだったと思い出した。

中桐の昭和34(1959)年の文章に『アンソロジーの必要と困難さ』というのがある。
英詩のアンソロジー(詩選集)を参照しながらさて自分が現代詩のアンソロジーを編むとしたら、といくつかの詩作品を取り上げている。
そのひとつとして、太平洋戦争の最中に出たアンソロジー『国民詩』第二集(第一書房、昭和18年3月)に載った堀口大學の次の詩を取り上げていた。
検閲を通り抜けて載ったことが不思議な例の一つとして、である。


歴史   堀口大學

火事がなければ
地震があった。

病気がなければ
(いくさ)があった。

あい間(ま)あい間(ま)
生活(くらし)があった。

国はだんだん
大きくなった。

世路(せろ)はだんだん
険しくなった。

薔薇はだんだん
咲かなくなった。



◆無論、中桐は、堀口大學が時局への批判精神を貫いた反骨の詩人だと評価しているわけではない。その前年に出たアンソロジーの『国民詩』第一集には同じ詩人が「すめらぎはあやにかしこし」といった書き出しの詩を載せていて、こうした詩は中桐の構想するアンソロジーに収録することはできない、とはっきりと書いている。もろ手を挙げての翼賛詩であるからだ。

*「薔薇はだんだん/咲かなくなった」とは芸術・文化の花が立ち枯れて行ったことの比喩表現。
堀口大學自身、当局から検閲や発禁処分を蒙っている。

◆中桐が大學の「歴史」をアンソロジー収載の候補とする理由は、検閲をくぐって公刊されたことと、表現の不自由に直面した年配詩人の反応を示す好例と考えたからにほかならない。

◆この詩の表現の特徴は、2行ずつ「あった」・「なった」で受けて終止するかたちを繰り返すシンプルさにある。
そのために、地震のような不可抗力の災害と、戦(いくさ)のような人為によるものとを同列に並べることになっている。
採用したスタイルは作者と読者の意識に作用する。
すなわち、戦争も天変地異の如く避けられないものとしてとらえ、それを不思議と思わなくなるということである。

国が大陸へ南洋へと版図を拡張していったのは紛れもなく国家の意思・野望の拡大にほかならない。戦費消尽が国民に耐乏生活を強いていったのも国策が必然的にもたらした結果であることは明らかであるはずが、いずれも「〜なった」と、自然災害同様、避けられず甘受するほかないものであるかのように表現される。

これは、検閲を意識した作者の巧妙な戦略であったかも知れない。
しかし、時勢に抗わず波風立てぬように、という意識の働かせ方をよく反映した表現だと言うこともできるわけである。

◆問題は、敗戦以後75年を閲しながら、同様の意識に我々がなずんだままでいるのではないか、ということだ。
そうした目で今現在を眺め直してみると、1943年のこの詩が、そっくり現代にあてはまりそうで、暗然とせずにはいられない。


*中桐雅夫の『アンソロジーの必要と困難さ』は『現代詩との出合い』(思潮社・詩の森文庫、2006年)に入っている。堀口大學「歴史」のテキストもそれに拠った。




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