「なおも翼をはためかせる」勇気[2020年01月26日(Sun)]
ヒドリガモという種類のカモらしい。
上が雄、下が雌。皇居北の丸の堀で。
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「かれらは歌う」より セオドア・レトキ
鮎川信夫・訳
死せるものや愛しきものに深くおもいをはせるとき
絶頂のいただきはいまも心胆を寒からしめる、
想像力ばかりが役に立つわけではない。
この光の最後の場所で。鳥であることをやめても
生きる勇気を持っている人は、なおも翼をはためかせる、
すべて灰色の無益なむなしさとなる広大な深淵にむかって。
*『続続 鮎川信夫詩集』より(思潮社、現代詩文庫、1998年)。
セオドア・レトキ(Theodore Roethke 1908-63)はアメリカの詩人。
◆今わの際に語る男のうた、3連からなる詩の最終連。
光の最後の場所である山巓から灰色の深淵へと、力尽きたものとして落下するのでなく、羽ばたく力を失わぬ者として生きること=歌うこと=その姿を最後まで示し続けること。