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かわをくだるさくらと[2019年04月04日(Thu)]

DSCN0433.JPG

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おおおかがわ  徳弘康代

さくらがちって
はないかだむすうにうかぶ
おおおかがわに
しろいけがわが
うかんで
ながれていく
しろいけがわに
みみがある
しろいけもの
おおおかがわに
しろいねこが
ういてながれていく
まだら はないかだと
いっしょに
みやこばし
さくらがわばし
おおえばし
べんてんはしをくぐって
みなとみらいの
しおみずがまじる
ゆっくり
かわがうみになる
みなとにむかう
きしゃみちをくぐると
おおおかがわへは
さかのぼれない
すいちゅうにたれたしっぽを
さかながつつく
ほをまきあげた
にほんまるのよこを
しろいけものが
ういてながれる
はないかだしおみずにまぎれ
もうみえない
やかたぶねのなみに
しろいけものがゆれる
とんびとかもめが
うえからみている
かんらんしゃのわき
こくさいばしをくぐり
ぷかりさんばしをこえると
みなと

ぷかりさんばしのせんたん
なみのよせるところで
しろいけものを
みおくる
しいばすの
はげしいなみに
みえかくれして
しろいけものが
うみへゆく
みえかくれゆれ
かくれみえ
かくれ
しろい
ねこ

べいぶりっじを
くぐると
とうきょうわん

うらがすいどうを
こえると
たいへいよう


『音をあたためる』(思潮社、2017年)より。


◆横浜を流れる大岡川、うららかな風に吹かれながら桜並木の岸辺を歩む人が多い。

京浜急行・日ノ出町駅から下流方向へ橋が続く。
都橋・桜川橋・大江橋・弁天橋……と、川に浮かぶ「しろいけもの」とともに我々も下ってゆく。

ぷかり桟橋で見送った先はベイブリッジ、浦賀水道、太平洋。

見送るこちらは陸に留まっている……のか?それとも――

◆実際に目撃したのか、想像の産物かはどうでもよい。
この詩を読んでしまったら、川面を下るしろいけものを探さずに済む人はいないだろう。


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