祝 玉城新知事[2018年09月30日(Sun)]
◆台風24号が本土に向かって上陸という頃、ニュースは早くも沖縄県知事選の結果を伝えた。
【朝日】沖縄知事に玉城氏初当選 政権支援の佐喜真氏を破る
⇒https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180930-00000048-asahi-pol
本土の政権は今度こそ襟を正して沖縄の声に耳を傾けずばなるまい。
アメリカ製武器購入の上得意として朝貢外交を続けることを即刻やめて、日米地位協定の改定に踏み出すこと。
それを皮切りとする自立した外交力が東アジアの安定と平和に寄与することを内外に知らしめること。
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会 話 山之口 貘
お国は? と女が言つた。
さて、僕の国はどこなんだか、とにかく僕は煙草に火をつけるんだが、刺青と蛇皮線などの連想を染めて、図案のような風俗をしてゐるあの僕の国か!
ずつとむかふ
ずつとむかふとは? と女が言つた。
それはずつとむかふ、日本列島の南端の一寸手前なんだが、頭上に豚をのせる女がゐるとか素足で歩くとかいふやうな、憂鬱な方角を習慣してゐるあの僕の国か!
南方
南方とは? と女が言つた。
南方は南方、濃藍の海に住んでゐるあの常夏の地帯、竜舌蘭と梯梧と阿旦とパパイヤなどの植物達が、白い季節を被つて寄り添ふてゐるんだが、あれは日本人ではないとか日本語は通じるかなどゝ
談し合ひながら、世間との既成概念達が寄留するあの僕の国か!
亜熱帯
アネツタイ! と女は言つた
亜熱帯なんだが、僕の女よ、目の前に見える亜熱帯が見えないのか! この僕のやうに、日本語の通じる日本人が、すなわち亜熱帯に生まれた僕らなんだと僕はおもふんだが、酋長だの土人だの唐手だの泡盛だのゝ同義語でも眺めるかのやうに、世間の偏見達が眺めるあの僕の国か!
赤道直下のあの近所
山之口貘『沖縄随筆集』の「私の青年時代」によった(平凡社ライブラリー、2004年)。