ハン・ガン『涙の箱』[2026年09月07日(Mon)]
◆2024年にノーベル文学賞を受けたハン・ガンの『涙の箱』を読んだ。
作品はむろん良い。翻訳(きむ ふな)も良い。日本語版の装画・挿絵(junaida)も良い。
すべての人に贈られた童話だ。
主人公は〈涙つぼ〉というあだ名の子ども。
ある日、村に黒い服のおじさんがやってくる。
おじさんは黒いカバンの中にたくさんの「涙」を持っている。
ただ、未だ持っていない「純粋な涙」を探しているのだ、という。
「自分が泣いていることすら気づかずに流す……、特別な理由はないけれど、この世のすべての理由で流す……、世界で最も美しい涙」……
〈涙つぼ〉は、おじさんとともに、みっつの山を越えてゆく旅に出る。そこには涙を買いたいという人が待っているというのだ……
ハン・ガン『涙の箱』(訳:きむ ふな、評論社、2025年)/装画・挿絵:junaida
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◆これを映画にしたいと思う人がきっといるだろうな、と思った。それを観てみたい。
実現するなら、ひとつだけお願いしたいことがある。
この本で68ページ、「青い明け方の鳥」が「この世のいかなる音にも似ていない音で鳴いた」――この場面にぜひ、最高の音楽を――。



