蓮池にて[2026年07月16日(Thu)]
◆夕方、駅に向かう途中に蓮池の横を通った。
蓮、とりわけ花が咲いているのを見ると、いつも「殺生戒」を思い起こして自問することが多い。たぶん芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の影響があるのだろう。
◆このところ庭木や車のミラーにまで張りめぐらされている蜘蛛の糸を払う時にも「ごめんヨ」とつぶやいていることもしばしばだ。
かといって、動物愛護の精神が身に備わっているとは言い難い。
先日、図書館で駐車場への階段を降りかけて、折り返しになる狭い踊り場に足を下ろそうとした時だ。
「ここは蟻さんがたくさんいるから、気を付けないと」という声が聞こえた。
下から上って来た年配の女性が足元を見ながら、娘さんと思しき女性に気を付けるように話しかけたのだった。
すれ違いながら彼女たちが足を踏みかけた階段を思わずこちらも見たのだが、蟻たちが果たして群れて歩いていたかどうか確かめることはできなかった。
意識して蟻を踏みつけようとは思うはずもないが、逆に全く意識せずに歩くだけで無数の殺生をやらかしていることは大いにありそうに思った。
それにしても、足元の昆虫の命を心に留める――常人にできることではない。



