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「寛容」――次期学習指導要領への視点[2025年11月11日(Tue)]

◆中教審で次期学習指導要領に向けた審議が各ワーキンググループ(以下「WG」と略記)で一斉に進行中だ。
今日は、その一つ、幼児教育WGの審議において、委員の一人K氏から「寛容」について述べた意見が印象的だった。
子どもたちの成長における「他者との関わり」をめぐって、今回の配付資料の次のくだりをふまえた発言である。

自分とは異なる他者への寛容を基に、思いや考えを伝え合い、自他を尊重し、幼児なりのルールや納得解を形成するなどして、園内の身近な社会の一員として遊びや生活を作っていくことを通じて、当事者意識と社会参画意識の芽生えが育まれることが重要
  *教育課程部会・幼児教育ワーキンググループ第2回配付資料2(2025年11月11日)6頁

◆K氏は、大略つぎのような意見を述べられた。

そうか、「自分とは異なる他者への寛容を基に」なんだ。
共生社会を目ざす上で、想像力と寛容が大事なキーワードだと思っているが、そうか、幼児はもともと寛容さを持っているんだ、って。

寛容さを育てなければいけないものだと思っていたが、そうだよな、と思ったんですね。恐らく葛藤はあるし、さまざまなイザコザもありながらも、まあいっか、と収めていく力は子どもにはあるんだろうな、と思う。
じゃあ、なぜ、逆に、成長に伴って寛容さを育てなくてはならない、という風になっていくのかと思うと、大人たちの規範意識が強すぎる、とか同調意識が強すぎる、という問題があろうかと思う。


◆重要な指摘だと思う。
規範意識」という言葉は現行の学習指導要領にもしばしば言及され、文科省は「規範意識を育む」ための指導例集なども出して学校現場に浸透を図ってきた。そればかりか、全国学習状況調査(いわゆる学力テスト)における子どもたちへのアンケートにも「規範意識」に関する質問項目を設けて、子どもたちの意識をここに向けさせることに力を入れてきた。
平たく言えば「学校生活のルールや決まり」を守るのが大事であり、そのような子どもは学力も高い、ということを刷り込むことに熱心であった。逆に言えば、そうでない子どもは路線から外れて行く。ルールのおかしさに気づいても、あえてそれを先生や大人たちに訊ねたりしないのが「賢明な」生き方だ、と思わせることに注力してきたわけだ。

もう一つ「同調意識」は今次の学習指導要領改定に向けた議論で、委員諸氏からすでに何度か言及がある。日本社会に根を張る「同調圧力」が作用して、子どもたちの主体的な学びを阻害することのないように、と繰り返し注意が促されて来ているのである。

ならば、現行の学習指導要領に残存する「規範意識」や「同調圧力」の誘引となる古い根を総ざらいして取り除くことが必要になってくる。特にその最大のものは「国旗・国歌」にかかわる事項である。
しかしながら、9月に教育課程企画特別部会が出した「論点整理」にはこれを検討した形跡がない。
このままでは、行事のたびに子どもたちはジレンマに立たされることは必定だ。
必然的に〈自らの人生を舵取りする力〉を備えた〈民主的で持続可能な社会の創り手〉の育ちを支えることはおぼつかない。
価値観の衝突が起こりうる問題に頬被りしたままで議論を進めていては、子どもたちが問題をとらえて解決に向かう力を押さえ込む、上からの「教育」しか行われなくなってしまう。

  ★〈 〉内は「論点整理」6ページに掲げる今次改定のキーワード)



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