
ムーキー・ベッツ吼える[2025年05月15日(Thu)]
先日のバラたちに混じって雨にしなだれるように咲いていた花。
バーバスカムというのが近い種だと思うのだが、さてどうだろう。
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◆トランプ米大統領が南アフリカの白人を「難民」としてアメリカに受け入れたというニュース。
不法移民ばかりか、正規の資格に基づく滞在者まで逮捕や資格剥奪に及んでいるトランプの「ダブル・スタンダード」を良く物語る例だ。
南アフリカ生まれのイーロン・マスク氏ほか、トランプ氏のブレインには、アパルトヘイト時代に白人としての有利な立場に浴していた人間が複数いる。
◆図らずも、この日、MLBドジャースvsアスレチックス戦を見ていたら、8回、大谷選手が申告敬遠された後にみごとな2点タームリーを右中間に転がしたムーキー・ベッツ選手が二塁上で吼えた。彼としては珍しい感情放出だった。
◆対照的な彼の表情として思い出すのは、今年4月7日、ドジャース選手団がホワイトハウスのトランプ氏を表敬訪問したときのベッツ選手だ。2019年のレッドソックス時代に同様の機会があった際にベッツ選手は参加を辞退したという。その話を聞いていたためか、2025年、ドジャースの選手として表敬訪問に臨み、スーツ姿でTVカメラに写った彼は、いくぶん緊張しているように見えた。
この様子を伝えたNHKニュースは、「トランプ大統領の1期目には、プロスポーツ選手が表敬訪問を辞退するケースが多く」いたと述べた上で、ベッツ選手のことばを次のように紹介した。
「みんなと一緒に祝福できたことがうれしかった。これは将来の思い出になるもので、何年かあとに互いに電話をかけあってこの話ができる。どこであろうとチームと一緒にいるべきで、一緒に楽しむべきなんだ。ホワイトハウスを訪れるのは貴重な機会だし、出席したことに後悔はしないだろう」
政治的信条はチームのために抑え込んだ、という単純なことではないだろう。
自らに何度も言い聞かせたことを物語る上のコメント自体が、そこに至る葛藤を含んでいる。
だが、連帯した他のスポーツ選手や辞退を支持した人たちからみれば、「変節した」とか「失望した」という声もあったに違いない。だが彼らは所詮当事者ではない。
トランプ氏が変わらぬ差別主義者であることは言うまでもない。
一方、チームのメンバーには肌の色も生まれも実に多様な選手たちが存在する。
それがそのままホワイトハウスの中に足を踏み入れ、個としてもチームとしても紳士的に応接する――そうしたふるまいそのものがレイシズムへのカウンター・パワーとなる――子どもじみた気まぐれな老人に対する立派な大人の振るまいというべきではないか。
◆そのようにベッツ選手の意志決定に至るあれこれを想像していただけに、今日の咆哮するムーキー・ベッツは、底光りする輝きを全身にまとって一回りも二回りも大きく見えた。
◆引用は表敬訪問を伝える下記NHK・News Webから
⇒https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250408/k10014772931000.html