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まど・みちお「せんねん まんねん」[2025年04月26日(Sat)]

DSCN3249.JPG

ミズキの花が顔を出していた。


***


せんねん まんねん   まど・みちお


いつかのっぽのヤシの木になるために
そのヤシのみが地べたに落ちる
その地ひびきでミミズがとびだす
そのミミズをヘビがのむ
そのヘビをワニがのむ
そのワニを川がのむ
その川の岸ののっぽのヤシの木の中を
昇っていくのは
今まで土の中でうたっていた清水
その清水は昇って昇って昇りつめて
ヤシのみの中で眠る

その眠りが夢でいっぱいになると
いつかのっぽのヤシの木になるために
そのヤシのみが地べたに落ちる
その地ひびきでミミズがとびだす
そのミミズをヘビがのむ
そのヘビをワニがのむ
そのワニを川がのむ
その川の岸に
まだ人がやって来なかったころの
はるなつあきふゆ はるなつあきふゆの
ながいみじかい せんねんまんねん


 伊藤英治・編『まど・みちお全詩集』(理論社、1994年)より

◆円環をなす命のいとなみと時間のめぐり。
人間はそれを切り刻んだり捻じ曲げることが好きだ、というより、それを業病のようにして棲息している。
救いようがない。




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