• もっと見る
« クルミの赤子たち | Main | 若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』17 »
<< 2024年07月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』15[2024年05月10日(Fri)]

DSC_0426ハコネウツギ?.jpg
ハコネウツギ(らしい)。花の色は白から赤に変じていくらしい。

*******


戦禍の際(きわ)で、パンを焼く    若尾儀武

15

産まれるということは
いのちを授かるということ
居場所を授かるということ
ふたつがそろってひとつです

マリウポリの地下

あと一ミリ
一ミリなんです
位置をずらしてください
新しいいのちが産まれました
どうぞこのいのちのために
あと一ミリ

しかし隙間は全て埋め尽くされている


どれ 月でもみてくるか
と独り言ちて
老婆がひとり 地下を抜け出していく



若尾儀武『戦禍の際で、パンを焼く』(書肆 子午線、2023年)より


◆生まれ出たいのちに、わずか「一ミリ」の居場所も与えられない事態――平時のぼんくら頭には想像もつかない。「一ミリ」の切実さに想像が及ばないからだ。
そうした事態を招いた責任があるはずもない老婆には、その想像力がある。

赤子を生かすために、スルリと娑婆の衣を脱ぎ捨てて姿をかき消す――あたかも老優の名演技を目の当たりにするかのようだ。



この記事のURL
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/3040
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml