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ラファの女児――宮澤賢治「嬰児」[2024年04月22日(Mon)]

◆4月21日、ガザ南部のラファで、イスラエル軍の空爆により死亡した妊娠30週目の女性から女児が生まれた。母親と父親、姉は空爆で亡くなり、赤ちゃんは帝王切開でこの世に生まれ出た。
病院の関係者は「この子は生まれた時から孤児だ」と、イスラエルを強く非難した。

*******


嬰児   宮澤賢治
         一九二四、四、一〇、

なにいろをしてゐるともわからない
ひろぉいそらのひととこで
(へり)のまばゆい黒雲が
つぎからつぎと爆発される
     (そらたんぽぽだ
      しっかりともて)
それはひとつづついぶった太陽の射面を過ぎて
いっぺんごとにおまへを青くかなしませる
  ……そんなら雲がわるいといって
    雲なら風に消されたり
    そのときどきにひかったり
    たゞそのことが雲のこころといふものなのだ……
そしてひとでもおんなじこと
鳥は矢羽のかたちになって
いくつも杉の梢に落ちる


『春と修羅 第二集』(『校本 宮澤賢治全集 第三巻』筑摩書房、1975年)より

*******

◆「しっかりともて」と嬰児に手渡された「たんぽぽ」は、その花びらの色といい、かたちといい、太陽から地上にもたらされた光そのものと言っていいだろう(元は黒雲の爆発から生まれたのだとしても)。

途中で消え失せたり、鳥たちのように落下することなくこの地上に生まれ落ちた以上は、たとい青いかなしみを抱え続けるにしても、その光を決して手放してはならない。




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