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谷村新司「群青」[2024年03月26日(Tue)]


群青  谷村新司


空を染めてゆく この雪が静かに
海に積もりて 浪を凍らせる
空を染めてゆく この雪が静かに
海を眠らせ 貴方を 眠らせる
手折れば散る 薄紫の
野辺に咲きたる 一輪の
花に似て儚(はかな)きは人の命か
せめて海に散れ 想いが届かば
せめて海に咲け 心の冬薔薇(そうび)

老いた足どりで 想いを巡らせ
海に向いて 一人立たずめば
我より咲きに逝(い)く 不幸は許せど
残りて哀しみを 抱く身のつらさよ
君を背おい 歩いた日の
ぬくもり背中に 消えかけて
泣けと如く群青の海に降る雪
砂に腹這(はらば)いて 海の声を聞く
待っていておくれ もうすぐ還るよ

空を染めてゆく この雪が静かに
海に積もりて 波を凍らせる
空を染めてゆく この雪が静かに
海を眠らせて 貴方を眠らせる

谷村新司「スーパーベスト」(Pax Musica PSCR-5308、1994年)より


◆谷村新司の「群青」は現代の挽歌だ。
これを母の葬儀で流してもらいたいと思っていたんだが……と、喪主である兄はいう。
CDで初めて聞かせてもらった。

◆母の通夜のあと、兄妹弟たちで明日の打ち合わせをしている間、妹の孫(母にとってはひ孫)がおもちゃで遊んでいるので思い出したのだろう、兄が同じ年頃だった時の記憶を語り出した。
未だ若かった母が、樽を運ぶリヤカーの後を泣きながら歩いていたという。
樽には女の人が入っていて動かない。やがてリヤカーはススキ野原へと入ってゆく。
――母の母親の野辺送りだったのだ。

この話は、知らなかった母親の姿を見いだすと同時に、幼年時代の兄の姿をもイメージさせる。当方は生まれたばかり、下の妹・弟は未だ存在しない。

◆そうした原風景を持つ兄と、弟妹たちが抱く母親像とは微妙に異なる部分があるようだ。
いわば、モデルを囲んで画学生たちがデッサンしているとき、対象となるモデルは一人なのに、学生たちの描き出す像は全く違ったものになる、というのと似通っているだろうか。


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